火災保険は一度使うとどうなる?保険料や契約終了、注意点などを詳しく解説

火災保険

火災保険を一度使うと、どのような影響があるのか気になる方も多いのではないでしょうか。しかし、火災保険は何度でも申請が可能で、保険料が上がる心配もありません。

本記事では、火災保険を一度利用した際の保険料や契約終了、注意点について詳しく解説します。火災保険を使うことに不安がある方は、ぜひ参考にしてください。

目次

火災保険は一度使うとどうなる?

火災保険は一度使っても終了することはなく、申請回数にも制限がありません。ここでは、下記2点についてそれぞれ詳しく解説します。

  • 火災保険を使っても契約は終了しない
  • 火災保険は申請回数に制限がない

自動車保険とは違い、火災保険は使ってもリスクがありませんので安心して利用いただけます。

火災保険を使っても契約は終了しない

火災保険を一度利用しても、その後すぐに契約が終了することはありません。火災保険には「使ったら終わり」というルールは存在せず、同じ契約のまま引き続き補償を受けることができます。火災保険を使っても、契約は終了しませんので過度に心配する必要はありません。

ただし、損害の度合いによっては契約終了となる場合があります。契約終了となるケースについては後述します。

火災保険は申請回数に制限がない

火災保険には申請回数の制限がないため、災害やトラブルが続いても、規定内であれば何度でも保険金を請求することが可能です。

一度利用したからといって、次のトラブルで申請ができなくなることはありません。特に保険料に影響を与えることもないため、被害が発生した際は火災保険を積極的に活用することが賢明です。

ただし、補償内容は契約によって異なるため、今加入している保険がどのような範囲を補償しているのか、あらかじめ確認しておくことが重要です。

建物・家財が「全損」の場合は契約終了

火災保険は何度使っても契約終了しませんが、建物・家財が「全損」となった場合は契約が終了します。ここでは、全損による契約終了について詳しく解説します。

「全損」の場合は契約が終了する

火災保険において、建物や家財が「全損」と認定された場合、その時点で契約は終了します。

全損とは、保険金額の全額、もしくは80%以上の金額が支払われるケースを指します。何度か事故があった場合は、累計ではなく一回の事故で80%以上の損害額となった時に契約が終了します。

全損で契約終了する場合は、損害が発生した時にさかのぼって契約終了となるため、以降の損害は補償されません。たとえ契約期間の途中であっても、再度同じ場所に住宅を建てる場合は、新たに火災保険に加入し直す必要があります。一方で、保険金が全額支払われない部分損害の場合は契約が継続され、次回の事故にも同じ保険金額が適用されます。契約終了後の未経過保険料は、契約内容に応じて返金される場合があります。

参考:損保ジャパン

地震保険で「全損」になった場合も契約終了

地震保険では、地震が原因で建物が「全損」と判断されると、その時点で契約が終了します。この場合、保険金が支払われると同時に、事故時にさかのぼって契約が無効になるため、その後の地震による損害は補償されない点に注意が必要です。

また、地震保険は火災保険とセットで契約されるため、火災保険が終了すれば地震保険も自動的に終了します。地震保険は単独で契約できないことを理解しておくことが大切です。

しかし、地震が原因で全損した場合は、「地震保険」のみが契約終了します。新たに住宅を建て直す場合は、改めて「地震保険」に加入しなければならないため注意しましょう。

参考:損保ジャパン

火災保険を一度使うと保険料が上がる?

火災保険を利用する際、多くの人が気にするのが保険料の変動です。しかし、火災保険においては、実際に保険金を受け取ったからといって次年度の保険料が上がる心配はありません。この点が、自動車保険とは異なる特徴です。

ここでは、以下の2点についてそれぞれ詳しく解説します。

  • 火災保険を使っても保険料は上がらない
  • 大規模災害によって保険料が上がる可能性はある

火災保険の利用が保険料に与える影響について、詳しく見ていきましょう。

火災保険を使っても保険料は上がらない

火災保険を利用して保険金を受け取っても、次年度の保険料は上がりません。

この点は、自動車保険とは大きく異なります。自動車保険では事故歴によって「ノンフリート等級制度」が適用され、保険を使うことで翌年の保険料が上がることがあります。しかし、火災保険にはそのような制度はありません。

火災保険料は、主に建物の所在地や構造などに基づいて算出されており、保険金の受取はその算出に影響を与えません。

火災保険の保険料算出に関わる要素は、以下のとおりです。

  • 建物の評価
  • 建物の所在地、構造、築年数、用途
  • 補償内容
  • 免責金額
  • 保険期間
  • 支払方法
  • 各社の割引

上記の要素から、保険を使った際の事故率は保険料に影響しないことが分かります。火災保険は、予期せぬ事態に備えつつも、経済的な負担を心配せずに保険を活用できることが大きなメリットといえます。

大規模災害によって保険料が上がる可能性はある

火災保険は、個人が保険を使うことで保険料が上がる仕組みはありませんが、大規模災害によって保険金支払いが急増した場合は保険料が上がる傾向にあります。

昨今、日本各地で豪雨や台風による甚大な被害が多発し、これにより保険金支払いが急増しています。このような状況が続くと、保険会社は収支を均衡させるために保険料を引き上げる必要が生じます。2024年10月にも数社で値上げの発表がされており、直近6年間で4度目の保険料引き上げとなります。

火災保険は、過去の支払い実績や将来の被害予測を基に保険料が算出されているため、今後も大規模災害が増加すれば、火災保険の保険料の引き上げが続く可能性があります。このような背景を理解し、今後の保険加入や見直しに活かすことが重要です。

火災保険を一度使うと申請できないケース

火災保険は何度でも使うことが可能ですが、一度使うと申請できないケースがあります。ここでは、申請できないケースを紹介します。

火災保険を使うことは、次回の申請や契約更新に影響を与える要因があることを理解し、今後の保険利用において何を注意すべきかを詳しく見ていきましょう。

保険金を受け取った被害箇所を修理していない

火災保険で修理代を受け取った被害について、被害箇所を修理していない場合は注意が必要です。

火災保険金を受け取った後、必ず損害箇所を修理するという決まりはありません。しかし、保険金を受け取ったにもかかわらず、その被害箇所を修理しなかった場合、再び同じ箇所に対して保険金を申請することはできません。保険会社では、過去の事故歴を詳細に記録しています。そのため、修理せずに再請求した場合はすぐにバレてしまいます。虚偽の報告は詐欺罪になる可能性があるため、保険金の請求は正しく行うよう注意してください。

保険金の再申請が認められるのは、前回の事故による損害を適切に修理した場合に限ります。保険金を受け取った際には、今後のことを考え、修理を行うようにしましょう。修理を怠ると、後のトラブルにつながる可能性があります。

全損で契約が終了している場合

建物が「全損」と認定され、保険金が支払われた場合は注意が必要です。

「全損」とは、損害が保険金額の80%以上に達した場合です。このような状況では、保険の対象物は消滅したとみなされ、火災保険契約は終了します。つまり、全損となった場合、契約はその時点で無効となります。仮に、全損の状態で引越しや建替を行わずにリフォームを選択した場合でも、前の契約は無効になっているため、新たに火災保険に加入する必要があります。全損で契約終了したことを忘れて無保険のまま過ごしていると、何か被害にあった際に保険を使うことができないため注意しましょう。

また、新しい住宅やリフォーム後の住居には、その建物に合った保険を選ぶことが大切です。全損の後も同じ場所に住み続ける場合でも、建物自体が変わったり、リフォームやリノベーションで構造・面積が変わった場合は契約内容を見直してください。全損による契約終了後は、しっかりと契約の確認をするようにしましょう。

2回目以降でも火災保険を申請できるケース

火災保険は、基本的には2回目以降も何度でも申請することができます。ここでは、2回目以降でも火災保険を申請できるケースを紹介します。前述したように、2回目の申請ができないケースもあるため、違いをしっかりと理解しましょう。

1回目の給付金で修理した箇所が、再度被害にあった場合

一度火災保険金を受け取って修理した箇所が、再び被害を受けた場合、新たに保険金を申請することが可能です。

たとえば、強風で屋根が破損し、その修理代を保険金で賄った後、再度同じ箇所が風によって損傷を受けたケースが考えられます。このような場合は、保険金の申請が認められます。

ただし、注意が必要なのは、同じ場所に繰り返し何度も損害が発生している場合です。建物の構造や立地条件により同じ箇所が損傷しやすい場合は、保険会社から改善策を求められることがあります。もし、適切な対応をせず何度も同じ箇所を修理していると、次回の保険契約更新時に、更改が難しくなることがあります。このようなリスクを避けるため、損傷の原因を特定し、必要な改善を行うように工夫しましょう。

別の箇所が被害にあった場合

一度申請した箇所とは別の箇所が損害を受けた場合は、再び火災保険金を申請することができます。

たとえば、最初の申請で落雷により家電が故障し、その修理代を保険金で賄った後、水漏れが原因で天井に損傷が生じた場合を考えます。このような場合は、天井の修理代を新たに保険金として申請することができます。

ただし、保険金の支払い対象となるのは、損害によって何らかの機能に問題が生じた場合に限ります。つまり、単に外観が損なわれただけではなく、実際に使用に支障をきたす状態であることが求められます。このため、申請の際には損害の内容を明確にし、必要な証拠を揃えることが重要です。

火災保険を使うメリット

火災保険を使うことは、契約者にとって多くのメリットがあります。火災保険は、経済的な負担を軽減するだけでなく、心の安定をもたらす重要な役割があります。

ここでは、具体的なメリットについて詳しく解説します。

修理代の負担が軽減される

火災保険を利用することによって、修理費用や再建費用がカバーされるため、経済的な負担が軽減されます。例えば、火災や自然災害が発生した際、自己負担で全額支払うとなると、家計に大きな影響を及ぼすことは避けられません。しかし、火災保険に加入していることで、保険金が支払われ、修理にかかる費用を大幅に削減できます。

そのため、火災保険に加入していれば、被害を受けた場合でも迅速に生活を再建することが可能となります。お金の負担が軽減されることで、余裕を持って他の生活費や将来の計画に資金を回すこともできます。予期せぬ事態に備え、火災保険に加入しておくことをおすすめします。

安心感を得られる

火災保険を使うことで得られる最大のメリットの一つは、安心感です。保険を使った際、保険会社が迅速に被害状況を調査し、適切な補償を提供してくれるため、復旧作業がスムーズに進行します。専門家のアドバイスを受けることで、どのように対応すべきかがわかり、心の負担が軽減されます。

さらに、保険会社のサポートがあることで、事故や災害の影響を受けた後でも、迅速に日常生活を取り戻すための道筋が見えやすくなります。特に、初めての申請や被害対応を経験する方にとって、専門的な知識を持ったサポートは心強いものです。

このように、火災保険は単に金銭的な補償を受けられるだけでなく、心理的な安心感を与えてくれます。火災保険を備えていることで、災害や事故に遭ったときに、より冷静に対応できる余裕を持てるようになります。安心した気持ちで生活を続けられることが、火災保険の大きなメリットと言えるでしょう。

火災保険を使うデメリットはない

結論から言うと、火災保険を使ってもデメリットはありません。火災保険には、多くの人が心配する申請回数の上限や保険料の上昇がないため、被害を受けた際は迷わず申請することをおすすめします。

火災保険は等級制度がないため、申請回数が多くても保険料が上がる心配がありません。さらに、受け取った保険金の使い道は自由であり、修理以外の目的に充てることもできます。ただし、被害箇所を修理しないことで、今後の損害が拡大するリスクもあるため、最低限の修理は行っておきましょう。最近の改定により、保険会社によっては復旧が義務付けられる場合もありますので、契約内容を確認することが大切です。

以上のとおり、火災保険を使うことで保険料が上がることはなく、申請回数の制限もありません。火災保険の利用に関するデメリットはないため、賢く火災保険を活用しましょう。

火災保険を使う際の注意点

火災保険を利用する際には、いくつかの重要な注意点があります。

  • 3年以内に申請する
  • 経年劣化は対象外
  • 故意による損害は対象外

これらのポイントに注意し、火災保険のトラブルを未然に防ぎましょう。具体的な注意点を詳しく解説します。

3年以内に申請する

火災保険の申請には、被害発生日から3年以内という法律上の期限があります。このため、損害を受けた際は迅速に対応することが求められます。3年を超えると、原則として保険金の請求はできなくなるため、注意が必要です。

被害が発生してから3年以上経過しているにもかかわらず、虚偽の申請を行うことは絶対に避けなければなりません。これは保険金詐欺に該当し、法的な問題を引き起こす可能性があります。正しい手続きで保険を活用し、期限内に申請を行うよう注意しましょう。

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経年劣化は対象外

火災保険は、自然災害や偶発的な事故による被害を補償するためにあります。そのため、経年劣化による破損は対象外です。しかし、劣化と災害による損害を見極めるのは難しいことがあります。特に、経年劣化を災害の一部と誤認して申請すると、過剰申請と見なされ、本来補償されるべき損害まで影響を受けるリスクが高まります。

逆に、劣化だと思い込んでいるケースでも、実は自然災害による被害であることが多々あります。こうした状況では、専門的な知識が必要です。したがって、被害の原因が不明な場合は、専門業者に調査を依頼することが賢明です。

また、申請の期限は被害発生から3年ですが、時間が経過すると経年劣化と判断される可能性が高まります。早めに申請することで、補償の対象となる損害を逃さないよう注意が必要です。被害を受けた際は、すぐに行動することが重要です。

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故意による損害は対象外

火災保険では、故意による損害は補償対象外です。例えば、「保険金が欲しいから古い部分を意図的に壊す」といった行為は、明らかに不正です。保険が補償するのは、自然災害や偶発的な事故による被害です。具体的には、火災や雪、台風、落雷などが該当します。

故意に壊した場合、保険会社はその行為を不正と判断し、契約者に対する信頼が失われることになります。その結果、今後本当に被害が発生した場合でも、保険金の支払いが難しくなる可能性があります。信頼関係が損なわれれば、補償が得られないリスクが高まるため、故意の申請はやめましょう。保険は誠実に活用し、リスクに備えるための大切な補償であることを忘れないようにしましょう。

まとめ

火災保険は、一度使っても、申請回数に制限がなく、保険料も上がりません。火災保険を使うデメリットはないため、安心して申請することができます。ただし、建物や家財が全損となった場合は契約が終了するため、新たに保険に加入し直す必要があります。経年劣化や故意の損害は対象外ですが、火災保険を賢く正しく活用することで、経済的な負担を軽減し、安心感を得ることができます。未来の安心を守るために、火災保険の重要性を理解しておきましょう。

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この記事を書いた人

保険代理店に10年以上勤務。ファイナンシャル・プランニング技能士の資格を取得し、保険のトータルコーディネートを行っています。現在は保険の仕事をしながら、ライターとして複数メディアで記事を執筆しています。得意分野は火災保険。現在も1日に1件以上の事故対応をしているため、知識・経験ともに自信があります。
現役の保険募集人として、みなさんにとってわかりやすく有益な情報をお届けします。

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