突然ですが、あなたの火災保険の補償内容は適切だと言えますか?
火災保険の内容はややこしいから、自分では決められない。担当者に任せている。という方も多いのではないでしょうか?
今回は、火災保険の知識のない方でも分かる。適切な補償内容を選ぶ方法をご紹介します。8ステップの順に進めば、適切な補償内容を選べるようになっています。
すでに火災保険に加入している方もぜひ、ご自身の保険が適切な内容になっているかこの機会に確認してみてくださいね。
そもそも火災保険とは?
火災保険とは、火災や自然災害などによって建物や家財に生じた損害を補償する保険のことです。
また、火災保険には、火災を中心としたベーシックな補償を持つ「住宅火災保険」と日常を取り巻くさまざまなリスクを補償する「住宅総合保険」の2種類があります。
住宅火災保険
住宅火災保険は、火災を主な保障としたオーソドックスな内容です。
【主な補償内容】
火災・落雷・ガス爆発などの破裂・爆発、ひょう災、雪災、風災
少し前まで火災保険の主流商品として各保険会社に取り扱われていましたが、現在取り扱っている保険会社は少なくなっています。
住宅総合保険
補償内容は住宅火災保険よりも幅広く、日常生活に起こりうるさまざまなリスクをカバーします。
【主な補償内容 】
火災、落雷、破裂・爆発、風災、水災、ひょう災、雪災、水濡れ、盗難、破損・汚損、外部からの飛来物など
現在では、火災だけでなく自然災害から盗難までさまざまな近代ニーズに対応できる「住宅総合保険」が火災保険の主流商品となっており、加えて地震保険を付帯することもできます。
どんな補償内容が適切だといえるのか
火災保険は、より手厚い補償内容に加入することで、さまざまなリスクに備えられ、安心した日常生活を送ることができます。
とはいえ、全ての補償範囲を広くすればするほど、保険料は高くなってしまいますし、必要のない補償内容まで含んでしまう可能性があります。
お住まいの地域や住居のタイプ、さらに家や家財の価値をきちんと知り、むだなくかつ十分な補償に契約することが火災保険の適切な補償内容になります。このような適切な補償内容の保険に加入するには、火災保険の補償内容と保険金額がそれぞれ適正であることが大切です。
補償内容
補償内容とは、保険会社と契約者の間で取り決めた補償範囲のことをいい、実際に損害が起きた時、保険会社は契約した補償範囲内で支払います。
保険金額
保険金額とは、保険会社と契約者の間で取り決めた契約金額のことをいい、実際に支払いが生じたい際に保険会社が支払う上限金額のことを指します。
適切な火災保険に加入する5つの基本ステップ
適切な火災保険の補償内容に加入するためにはどうすればいいの?
そんなお悩みを持つ方におすすめしたいのが、以下の5ステップです。上から順にステップを踏んでいくことで、あなたのお家に合った適切な火災保険の補償内容を決めることができます。
順を追って進めていきましょう。
ステップ1.火災保険の適用範囲と補償対象を知る
まずは、火災保険の基礎知識。適用範囲と補償対象とは何かを知っておく必要があります。
適用範囲
火災保険で補償される範囲のこと。
住宅総合保険でご紹介した「火災、落雷、破裂・爆発、風災、水災、ひょう災、雪災、水濡れ、盗難、破損・汚損」の中から選択した補償内容が火災保険の適用範囲となります。
補償対象
保険をつける対象のこと。主に「建物」と「家財」の二つから保険の対象を選択します。
主な内容 | |
建物 | 門・塀、物置、基礎部分、車庫、浴槽、調理台、床暖房、地デジ・アンテナ、便器、窓、屋根 |
家財 | テレビ、冷蔵庫、パソコン、テーブル、洋服、生活雑貨、カーテン、自転車、現金(盗難の場合)、※貴金属や美術品など |
※家財を契約する際、一点もしくは一組が30万円を超える高額な貴金属や美術品は、別途申請がなければ補償対象となりませんので注意しましょう。
ステップ2.補償対象を決める
補償対象は「建物」と「家財」の両方を選ぶか、どちらか一方のみの補償にするかを決めます。
以下の3パターンから火災保険の補償対象を選択します。
- 「建物」のみ
- 「家財」のみ
- 「建物+家財」
、通常「建物」は家主が加入するため、借家の場合は「家財」のみを選択します。
一方で持ち家の場合、「建物」が必須となります。「家財」を補償対象に入れるかを選択することができますが、家族で住んでいる場合は特に、家電や衣類を含めた家財の金額は数百万にも登ります。
保険料にもよりますが、金銭的に余裕がある限り、「家財」も補償対象に含めた火災保険に加入することをおすすめします。
ステップ3.お住まいの地域エリアの危険性から補償の範囲を選択
次に、お住まい地域の災害リスクから補償の範囲を選択しましょう。
火災や台風など、想定しようのない災害がある一方で、洪水、地震、津波、土砂災害など国土交通省のハザードマップを確認することで、居住地域内の災害被害をある程度想定できる災害もあります。
お住いの地域のハザードマップの内容から、とくに高リスクとされる災害を選択すれば、必要以上の保険料を支払うことなく、無駄のない補償範囲に加入することができます。
ステップ4.保険金額を決定する
火災保険の適用範囲を決定したら、建物と家財に対してそれぞれいくらの保険をかけるか保険金額を決めていくのですが、その前に損害金額の評価方法である「再調達価額」と「時価」を理解しておきましょう。
これらはどちらの評価方法を選択するかによって、損害があった時に受け取れる保険金額が大きく異なります。
それぞれの特徴とメリット・デメリットは以下の表にまとめています。
再調達価額 | 時価 | |
特徴 | 同等の物を新品で購入するのに必要な金額 | 新品で購入するのに必要な金額(再調達価額)から経過年数によって価値が下がった分(消耗分)を差し引いた金額 |
メリット | 被害額の全額が補償される | 再調達価額に比べて保険料が割安 |
デメリット | 時価に比べて保険料が割高 | 被害額の全額が出ない可能性がある |
「再調達価額」と「時価」を簡単に言うと、再調達価額に設定すると損害額の全額が給付金として受け取ることができます。一方、時価に設定すると保険料は安くなりますが、損害額の一部しかデないため、自己負担額があるかもしれない。ということです。
損害額すべてを補償する保険を持ちたい方は再調達価額を、被害額を全額補償しなくてもいいから、保険料をできるだけ安く抑えたいという方は時価を選択するのがおすすめです。
迷うようであれば、再調達価額を選択しておくと間違いありません。万が一、家が全焼してしまっても同程度の家を建て直すのにかかる費用の全額が補償されます。
それではこれから、建物と家財の保険金額の設定方法についてご説明します。
建物の保険金額
建物の価格を決定する方法は、主に以下の5つ
- 新築の家を購入した場合:新築建設費用
- 建売の家を購入した場合:購入金額ー土地代
- 中古の家を購入し、建築年と建築価格がわかる場合:建築時の価格×年次別指数
- 中古の家を購入し、建築年と建築価格がわからない場合:新築費用単価×延床面積
- マンションを購入した場合:専有部分の再建築費用
基本的には家を購入した際の金額(土地代を含まない)をそのまま保険金額として設定しましょう。ただし、中古物件の場合、年数分を差し引く必要があり、この場合の保険金額は保険会社に計算してもらうことができます。
家の購入費以上の保険金額を設定したとしても、火災保険で支払われることはありません。保険金額はあくまでも建設費用と同等またはそれ以下に設定しましょう。
例)2500万円の新築を購入したが、保険金額は3000万円に設定した
→火災で全焼した時に支払われる保険金額は2500万円となります。(ただし新価の場合)
家財
それぞれの家財の価値に関しては契約者によって大きく異なりますので、建物と異なり、上限を定めていない保険会社もあります。
ご自身でお持ちの家財の価値がある程度分かっているという方は問題ありませんが、ほとんどの方はそうではありません。その場合は各保険会社が各年齢や家族構成から統計をとった簡易評価表(目安表)を利用して決定すると良いでしょう。
ステップ5.保険期間と支払い方法を選択
火災保険の保険期間は、年単位で契約します。保険法によって火災保険の保険期間は最長10年と定められています。
また、支払い方法も決定する必要があり、こちらは一ヶ月単位から一括払いまで選択することが可能です。
保険期間を長くするほど、支払い方法を短期間にするほど割引がありますので、できるだけ長い期間で短期払いで契約すると、保険料はお得になります。
火災保険加入時に注意したいポイント
火災保険を契約する際に確認しておきたい二つのポイントをご紹介します。
免責金額の設定
保険を加入する際は免責金額の設定を行います。
免責金額とは、災害時に自己負担する金額のことをいいます。保険会社によって異なりますが、免責0円、3万円、5万円、10万円と選択できることが一般的です。
免責金額を高く設定すると、保険料を安く抑えることができますが、災害時の自己負担額が高くなってしまうため、支払いが可能な限り免責金額は低く設定したいところです。
補償が重複していないか?
火災保険以外にも損害保険に加入している方は、補償が重複することがありますが、以下の二つの補償は、どちらか一方しか補償を受けることはできません。保険料を無駄に支払うことになってしまいますので補償の重複には十分注意しましょう。
【重複しやすい補償内容】
個人賠償責任補償保険:自動車保険、自転車保険でも加入することができるため、最も重複してしまいやすい補償の一つです。
類焼損害・失火見舞費用特約:二社以上の火災保険に加入した場合、重複することがあります。
まとめ
難しい言葉が並ぶ火災保険を自分で選択するのは難しく感じるかもしれません。しかし、基本の知識やポイントを抑えることができれば、自分でも適切な補償内容を選ぶことが可能です。
ぜひ、本記事の5ステップを参考にして頂き、むだなくかつ十分な補償に契約することが火災保険の適切な補償内容の火災保険を契約してください。