火災保険の「申請代行」は違法?申請サポートとの違いや注意点、メリットを解説

この記事では、火災保険の「申請代行」が違法かどうか、また「申請サポート」との違いについて詳しく解説します。

「申請サポート」は合法ですが、「申請代行」は法的に問題がある場合があ流ため注意が必要です。トラブルを避けるため、申請代行と申請サポートの違いや、メリット・デメリットについて具体的に説明します。

目次

火災保険を請求する時の「申請代行」は違法?

火災保険の「申請代行」は違法!

火災保険の申請代行は、法律上、弁護士や行政書士だけが認められており、通常は契約者自身が行うべきものです。

業者による申請代行は非弁行為(違法)に該当し、結果的に保険金が支払われないリスクや、最悪の場合、保険契約の解約を招く恐れがあります。このため、申請代行を依頼する際は慎重に判断することが重要です。

「申請代行」と「申請サポート」の違いは?

「申請代行」が違法行為に該当することは分かりましたが、「申請サポート」は違法行為ではありません。ここからは、「申請代行」と「申請サポート」の各々の特徴を解説します。

「申請代行」とは

「申請代行」とは、火災保険の申請において、被害調査から申請書類の記入、保険会社への提出まで、すべてを代行業者が行うサービスを指します。

全ての手続きを業者に任せられるため、利用者には便利な選択肢に思えますが、ここには重要な法的制約があります。

法律では、代理人として申請手続きを行えるのは弁護士のみとされています。したがって、弁護士資格を持たない者がこれを行うと非弁行為となり、違法です。実際に弁護士資格を持って合法的に業務を行っている代行業者は非常に少なく、そのため、申請代行を依頼することは大きなリスクを伴います。

具体的なリスクとして、申請代行を利用した結果、保険金が支払われない可能性や、最悪の場合、保険契約自体が解約される事態が挙げられます。これにより、利用者は経済的損失を被ることになります。

このような理由から、現在では「申請代行」よりも、申請のサポートを提供する「申請サポート」が主流となっています。申請サポートは、手続きそのものを代行するのではなく、申請者自身が適切に申請を行えるように支援するサービスです。これにより、法的リスクを避けつつ、申請手続きの負担を軽減することが可能です。

「申請サポート」とは

「申請サポート」とは、火災保険の申請において、申請者自身が手続きを行うことを前提に、専門業者がその手助けをするサービスです。具体的には、以下のような業務を提供します。

まず、被害箇所の調査を行い、被害の程度や必要な修理内容を詳細に把握します。次に、工事見積書と被害報告書の作成をサポート業者が担当します。これらの書類は、保険申請において非常に重要な役割を果たします。さらに、申請に関わる不明点や疑問点に対するアドバイスも行い、申請者がスムーズに手続きを進められるよう支援します。

保険契約者は、保険会社から申請に必要な書類を取り寄せ、それらを記入します。その後、サポート業者が作成した見積書や報告書を同封して提出することで申請が完了します。

専門知識が必要な被害調査や、手間のかかる書類作成を専門家に任せられるため、加入者は煩雑な手続きを省けます。専門的な知識が求められる部分をプロに任せることで、安心して申請手続きを進められるのが大きなメリットです。

「申請代行」だけじゃない!火災保険の違法な申請方法

火災保険の申請方法には、「申請代行」以外にも違法行為の例がいくつかあります。ここからは、違法行為にあたる請求について解説します。

虚偽の申告は詐欺罪になり得る

火災保険申請において、虚偽の申告は重大な違法行為に該当します。

例えば、自らの過失でわざと損害を与えたり、実際には損傷していない部分を故意に破損したとするなどの行為です。

これらは詐欺罪に該当し、重い刑事罰の対象となります。業者から虚偽の申告を勧められた場合は、即座にその申し出を断るべきです。不正行為に関与することは絶対に避けなければなりません。保険金詐欺は重大な犯罪であり、法的なリスクを伴います。

修理見積金額を故意に高くする

修理見積金額を故意に高くして請求することも違法行為に該当します。

即座に罪に問われることは少ないですが、保険会社は修理見積書の妥当性を厳しく審査します。そのため、根拠のない高額な見積もりは認められません。

業者と保険会社の間で工事内容に違いがある場合、結果的に見積もり金額が減額されることもあります。重要なのは、正当な金額を申請し、透明性を保つことです。

「申請サポート」選びに注意!違法業者との見分け方

「申請サポート」は便利である反面、違法業者に注意する必要があります。悪徳な業者にはいくつかの共通点があるため、見分け方を把握して悪徳業者に騙されないよう気をつけましょう。

「申請を代行する」とアピールする業者はNG

火災保険の申請は、基本的に契約者自身が行うべきです。

「全ての申請手続きを代行します」と宣伝する業者は法令違反の可能性が高く、注意が必要です。

特に、ウェブサイトなどで「申請代行」を明確に謳っている業者は信頼性に欠けるため、利用を避けるべきです。違法な業者を利用すると、保険金が受け取れないリスクがあります。

訪問営業は避ける

次に注意すべきは訪問営業を行う業者です。

「お宅の屋根に損傷が見受けられます。この状態なら火災保険給付金が受け取れますよ」といった話をされると不安になるかもしれません。彼らはプロとして不安を煽り、契約を迫りますが、事前に十分な説明を行わず、高額な違約金を求めるリスクがあります。

そのため、訪問営業を行う業者との契約は慎重に判断し、避けることが重要です。信頼できる情報源や専門家に相談することをお勧めします。

契約を急かしてくる

契約を急かす業者は、悪徳業者である可能性が高いです。

「給付金の申請には期限があるから早めに決めた方が良い」「今すぐ屋根の修繕を行い、火災保険を利用しましょう」といった急かし方をする業者は特に注意が必要です。特に、屋根や外壁の修繕と一緒に契約を結ばせる業者は後々トラブルの元になることが多いです。

このような業者と契約すると、以下のような問題が発生する恐れがあります。

  • 給付金の範囲内で修繕できず、追加の修繕費用を自己負担することになる。
  • 修繕やリフォームの契約をキャンセルしようとすると、高額な違約金が発生する。

給付金は申請した金額がそのまま支払われるわけではなく、調査員やサポート業者の対応によって受け取れる金額が大きく変動します。そのため、その場で契約を決めるのではなく、他のサービスと比較し、口コミや評判を十分に調べた上で慎重に判断することが重要です。

手数料や違約金の説明が少ない

契約時に手数料や違約金について十分に説明しない業者は、信頼性に欠ける可能性があります。

特に、契約内容について詳細を提供せず、手数料や違約金が不明確な業者は避けるべきです。これらの業者は、他の業者と比べて手数料が高かったり、法外な違約金を設定している場合があります。

例えば、手数料が40%以上であったり、違約金が高額で給付金の40%を超える場合などがこれに該当します。また、受給額ではなく申請額から手数料を計算する業者も問題です。

通常、火災保険申請サポート業者の手数料は30~40%程度が目安です。それ以上の額を請求される業者は基本的に避けた方が良いでしょう。さらに、調査費や出張費、書類作成代金などの追加料金が発生する場合もあります。

契約内容が不明瞭で説明が不十分な業者は、後々トラブルの原因となる可能性が高いです。契約前に詳細な説明を求め、他社と比較検討することが重要です。

評判や口コミ、実績の確認をする

業者を選ぶ際には、評判や口コミ、実績の確認が重要です。

ウェブサイトに掲載された情報や実績は参考になりますが、鵜呑みにせずその信頼性を確認することが必要です。

具体的には、調査件数や給付金額の実績がどれほどのものかを把握し、過去の顧客のレビューや評価をチェックしましょう。これにより、信頼できる業者かどうかを見極める助けになります。

「修理」と「被害」の違いを理解する

「修理」と「被害」の違いは、火災保険の申請において非常に重要なポイントです。

保険金は、事故や災害によって引き起こされた損傷の修理費用をカバーするために支払われますが、経年劣化による損傷は対象外です。

例えば、台風などの自然災害で被害を受けた家屋や家財の修理は保険で補償されますが、年月が経つことで自然に劣化した部分の修理には保険金は支払われません。

一部の業者は「保険金ですべての修理が可能」として、経年劣化を含む修理を勧めることがありますが、これは誤解を招く情報です。保険会社は、修理費用がどの部分に該当するかを精査し、支払いを行います。特に、普段目に見えにくい屋根や雨樋、床下の部分については、修理費用が水増しされる可能性もあるため、注意が必要です。

修理が経年劣化によるものではなく、本当に災害による被害であるかを区別することが重要です。

虚偽の申告や水増し請求が判明した場合、保険契約の解除や保険金の返還を求められるだけでなく、詐欺罪に問われるため慎重に対応することが求められます。

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火災保険の「申請サポート」を利用するメリットは?

「申請サポート」の利用することには、多くのメリットがあります。ここからは、「申請サポート」を利用することで得られるメリットについて解説します。

申請もれを防ぐことができる

申請もれを防ぐためには、専門家による調査が必要です。

屋根などの目に見えにくい部分には、台風などの影響で隠れた被害が潜んでいることが多いです。火災保険ではわずかな損傷も対象になることが多いため、専門家に点検してもらうことで申請漏れを防ぎ、適切に補償を受けるチャンスが高まります。

被害原因の特定をしてもらえる

火災保険は火災だけでなく自然災害による被害なども保証されますが、被害の原因が自然災害によるものであることを保険会社に示す必要があります。しかし、長年経過した住宅では、経年劣化による破損があるため、被害の特定が難しい場合があります。申請サポートを利用すれば、専門家が被害の原因を詳細に調査し、火災保険の補償対象となるかどうかを明確にしてくれます。これにより、自分で判断する手間を省き、適切に保険請求することが可能になります。

必要書類の準備を任せられる

火災保険の申請には、申請書の他に様々な書類が必要です。例えば、修理見積書、事故内容の報告書、自然災害を証明する写真などが求められます。申請は被害発生から3年以内に行う必要があり、正確な証明書類の準備が重要です。

専門家に申請サポートを依頼すると、これらの書類作成や必要な手続きを代行してもらえるため、スムーズに申請を進めることができます。

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火災保険の「申請サポート」を利用するデメリットは?

「申請サポート」の利用には、デメリットもあります。デメリットを把握し、注意した上で利用するようにしましょう。

お金がかかる

申請サポート業者を利用すると、手数料がかかる点がデメリットとして挙げられます。

成功報酬型の業者の場合は、保険金受取後に手数料を支払うことが一般的です。手数料を支払うことで、複雑な申請手続きがスムーズに進む場合もありますし、難しいケースでも保険金を受け取ることができる可能性を高められます。

業者によって手数料の金額や条件は異なるため、契約前にしっかりと確認しメリットと費用のバランスを考えることが重要です。

業者選びが難しい

業者選びは、火災保険申請サポートを利用する際の大きな難点の一つです。

最近では、自然災害の増加により多くのサポート業者がいますが、中には悪質な業者も含まれています。このような業者とトラブルを避けるためには、慎重な業者選びが欠かせません。

業者の信頼性を判断するためには、まず実績や評判を確認することが重要です。ホームページや口コミを調べ、過去の顧客の評価を参考にしましょう。また、契約内容や手数料についても事前に詳細に確認し、疑問点があればしっかりと質問することが求められます。信頼できる業者を選ぶことで、スムーズな申請が期待できます。

まとめ

火災保険の「申請代行」は違法行為ですが、「申請サポート」は注意点に気をつけて利用すれば便利なサービスであることが分かりました。メリットとデメリットをしっかりと把握し、信頼できる業者を探して利用してみましょう。

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この記事を書いた人

保険代理店に10年以上勤務。ファイナンシャル・プランニング技能士の資格を取得し、保険のトータルコーディネートを行っています。現在は保険の仕事をしながら、ライターとして複数メディアで記事を執筆しています。得意分野は火災保険。現在も1日に1件以上の事故対応をしているため、知識・経験ともに自信があります。
現役の保険募集人として、みなさんにとってわかりやすく有益な情報をお届けします。

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