火災保険を申請する際の必要書類とは?それらの準備方法も解説

火災保険は、突然の出来事に備える頼もしい味方です。しかし、保険金を受け取るには正しい手続きと必要書類が欠かせません。この記事では、火災保険の申請手順と必要書類、そして保険金を受け取る際のポイントを丁寧に解説します。しっかりと内容を理解して、必要な保険金を安心して受け取れるよう準備を進めましょう。

目次

火災保険を申請する流れ

火災保険に加入していても、保険金を自動的に受け取ることはできません。
各保険会社によって異なりますが、火災などで損害を受けた場合には以下の手順で保険金を請求することが必要です。

1:保険会社へ連絡

火災などの保険で補償される事故が発生したら、まず最初に保険会社へ連絡しましょう。

この際、契約者の氏名、保険証券番号、事故が発生した日時や場所、事故の原因や状況、損害の程度、届出官公署名・担当官名、修理業者名・連絡先などの情報が必要です。準備が整ったら、保険会社に電話をかけましょう。

一部の保険会社では、オンラインでの請求手続きも可能です。

2:必要書類の準備

保険会社への連絡が終わったら、報告した内容を証明するための書類を用意しましょう。通常、被害の証拠として写真や修理見積書、事故の報告書が必要とされます。必要な書類については後ほど詳しく説明しますが、保険会社への問い合わせ時にも案内がありますので、不明点があれば確認しましょう。

3:保険会社へ提出

必要書類を整理し、保険会社に提出しましょう。保険会社ごとに必要な書類や提出フォームが異なるため、提出前に確認を怠らないようにしましょう。提出漏れや書類の不備があると、保険金の支払いが遅れることがありますので、慎重に手続きを進めましょう。

4:保険会社での審査

提出した書類をもとに、保険会社が審査を行います。場合によっては、現地調査人が事故現場を調査することもあります。審査や調査の結果によって、保険金の支払い可否や支払い金額が決定されます。さらに詳細な情報が必要な場合、追加の書類提出が求められることもあるため、素早く対応しましょう。

5:結果の通知・入金

最終的に、保険会社から保険金の支払い可否や金額についての通知があります。結果に納得した場合は、通知に従い承認し、保険金の受け取り手続きを進めましょう。

質権が付いている契約の場合は、質権者へ確認を行った後に保険金の支払いが可能になります。

手続きに関する詳細も通知されることがあるので、結果と共に注意深く確認しましょう。

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火災保険の申請に必要な書類と準備方法

保険金を請求する際には、様々な書類の提出が必要となります。ここからは、一般的に必要となる書類と入手方法について解説します。

保険金請求書

保険金請求書は、保険金を請求する際の重要な文書です。通常、保険会社から提供されるフォームを使用します。

この書類には、下記のような項目への記入が必要となります。

  • 保険金請求者(被保険者)の情報、捺印:所有者が複数名の場合、全員の署名捺印が必要です。保険会社によっては捺印を省略できる場合もあります。
  • 証券番号:保険証券を確認して記入しましょう。
  • 他契約の有無:請求する事故について、同一の損害を補償する契約の有無を申告することは告知義務として必ず守らなければなりません。複数の保険会社から、損害額を超える保険金を受け取ることは認められていません。(参考:日本損害保険協会
  • 保険金振込口座:保険金の振込先を記入してください

保険金請求書は、正確かつ詳細に記入しましょう。

証拠写真

被害状況を明示するために、被害箇所や建物全体の写真を数枚用意してください。

高所や特殊な場所の写真は、専門家に依頼して撮影することを検討しましょう。また、被災後、修理や片付けを行う前に写真を撮影することが重要です。

修理見積書

修理業者によって作成される修理見積書は、修理内容や部品材料の詳細を含む必要があります。この見積書を提出することで、保険会社は修理費用の評価を行います。詳細な情報を提供するため、正確な見積書を用意しましょう。

  • 損害部分のみに対する修理額で見積りを依頼しましょう。事故に無関係な外壁塗装などが含まれた見積書を出してしまうと、査定がスムーズにいかなくなることがあります。
  • 落雷による被害の場合は、修理見積書の備考欄などに「故障原因が落雷による」と明記してもらうよう注意しましょう。原因の記載がないと「落雷による被害」であることが証明できません。

損害証明書・罹災証明書

損害証明書は、家財や備品の損害額を示す文書です。保険会社が提供するフォームを使用します。火災の場合は消防署、水災の場合は市区町村が発行する罹災証明書も必要となることがあります。罹災証明書は、自然災害による被害に対して市区町村が発行する公式な証明書です。

建物登記簿謄本(登記事項証明書)

建物全損などの場合には、建物登記簿謄本の提出が必要となることがあります。この書類は建物の所有者や所在地に関する情報を含み、法務局で入手できます。

印鑑証明書

保険金請求人の身元確認のために印鑑証明書の提出を依頼されることがあります。保険金請求書には、同じ印鑑(実印)を押印する必要があります。

参考:損保ジャパン

火災保険を申請する際の注意点

火災保険を申請する際には、様々な注意点があります。気をつけなければ保険金の申請が認められない場合もあるので、申請前にしっかり確認しておきましょう。

被害にあったら早め(3年以内)に申請する

火災保険での保険金請求は、被害発生後3年以内に行う必要があります。この期限を守り、速やかに請求手続きを行うことが大切です。

3年を過ぎると、被害が火災や災害によるものなのか、経年劣化によるものなのかを判別しにくくなり、経年劣化と判断された場合、保険金を受け取る権利が失われてしまう可能性があるからです。

また、時間が経過すると被害状況を正確に把握することが難しくなり、保険金の支払いに遅延が生じることも考えられます。したがって、被災後すぐに被害状況を記録した写真を撮影し、できる限り早く保険会社に請求手続きを行うことが重要です。

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証拠写真は複数の画角で撮影する

被災後、写真を撮る際にどのような写真が必要なのか迷うことがあるかもしれませんが、保険金の請求に必要な写真は以下の通りです。

  • 被害を受けた建物や家財の全体を撮影した写真
  • 損害を受けた個所の状況が確認できる写真

特に建物全体の写真や損害箇所の写真については、複数枚の写真を撮り、複数の角度から撮影するようにしましょう。写真は修理業者が撮影したものでも、自身で撮影したものでも問題ありません。ただし、屋根などの高所の損害の場合、自分で危険な作業を行うことは避け、修理業者に撮影を依頼してください。証拠写真をしっかりと撮影し、保険請求をスムーズに進めましょう。

経年劣化の場合は火災保険の申請が認められない

経年劣化によって損傷している場合、それが台風や自然災害ではなく単なる経年劣化によるものであると、保険会社によって判断される可能性があります。火災保険は、火災、風水害、突発的な事故などの予測困難で急激な損害に対する補償を提供するものであり、経年劣化による損傷は対象外とされます。

経年劣化が原因で建物や家財が損傷した場合、火災保険からの補償は期待できません。修理に必要な費用は自己負担となりますので、定期的なメンテナンスや建物の保守が重要です。保険の範囲外のリスクに備えるために、保険を適切に活用するための理解が不可欠です。

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故意や過失がある場合は火災保険の申請が認められない

契約者や被保険者が故意に火をつけた場合や、故意でなくても重大な過失がある場合、火災保険からの保険金支払いは行われません。重大な過失の判断はケースバイケースで行われますが、以下のような事例が該当します。

  • 料理中にてんぷら油に火をつけたまま放置して火災が発生した場合
  • 寝たままたばこを吸いながら火災が発生した場合

これらのようなケースでは、保険会社によって重大な過失が認められ、保険金の支払いが行われないことがあります。保険金を受け取るためには、火災や事故の発生時に適切な注意と対応が不可欠です。火災保険は予測不可能な出来事に備えるものであるため、契約者や被保険者の行動が保険金支払いに影響を与えることを考慮しましょう。

保険金はできるだけ修理に使用する

火災保険を利用する際、保険金の使用方法についても考慮が必要です。以下の理由から、できるだけ保険金を修理費用に充てることが重要です。

 放置すると被害が拡大する可能性がある

被害箇所を修理せずに放置すると、その後の建物の劣化が進行し、大きな問題を引き起こすことがあります。例えば、台風で屋根に損傷が生じた場合、初期段階では深刻な影響がなくても、放置すれば雨漏りやカビの発生などが懸念されます。このような問題が発生すると、修理にかかる費用は当初の予想よりも高額になる可能性があります。したがって、修理が必要な場合は、保険金を受け取ったら早めに修理を行うことが経済的かつ建物の寿命を守る観点からも賢明です。

修理しないと同一箇所の補償が受けられない

保険金を受け取ったにもかかわらず修理を怠った場合、同一箇所が再び損傷した際に保険金を受け取る権利を失う可能性があります。修理を怠った場合、再び同じ箇所に損害が生じた場合、その損害が前回の修理によらない新たな損害かどうか、または前回の修理による再発ではないかといった疑念が生じることがあります。このような状況では、保険金の支給が認められません。したがって、保険金を受け取ったら、同じ箇所に再び損害が発生しないように、適切な修理を行うことが重要です。火災保険は未知のリスクに備えるものであり、そのリスクを最小限に抑えるためにも、保険金を適切に利用するべきです。

まとめ

火災保険を利用する際、正確な手続きと適切な書類の提出はスムーズな保険金受け取りの鍵となります。保険金を受け取るためには被害の早急な報告や必要書類の準備が欠かせません。また、注意点を守ることも大切で、適切な利用方法を選ぶことが建物と財産を保護するうえで重要です。火災保険の申請に関する情報を正しく理解し、不測の事態に備えましょう。

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この記事を書いた人

保険代理店に10年以上勤務。ファイナンシャル・プランニング技能士の資格を取得し、保険のトータルコーディネートを行っています。現在は保険の仕事をしながら、ライターとして複数メディアで記事を執筆しています。得意分野は火災保険。現在も1日に1件以上の事故対応をしているため、知識・経験ともに自信があります。
現役の保険募集人として、みなさんにとってわかりやすく有益な情報をお届けします。

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