カーポートは、車庫入れの失敗や台風による強風で損害を被ることがよくあります。しかし、カーポートは火災保険で補償されるのでしょうか。
本記事では、「カーポートの被害は火災保険で請求ができるのか?」と不安に思っている方のために、火災保険の適用条件などを詳しく解説します。
【結論】火災保険でカーポートは補償される!ただし、損害の原因による
カーポートが壊れてしまったとき、火災保険に加入している方は修理代を支払ってもらえるのかと疑問に思いますよね。
カーポートの損害は、火災保険で補償を受けることができます。
カーポートは「建物」と判断されるため、火災保険で建物に補償をかけている場合は、カーポートも対象物になります。そのほか、門や塀、物置も建物として保険の対象に含まれます。
保険会社によっては、カーポートの面積が大きい場合、対象物件とならないことがあります。その場合は、屋外明記物件として申請する必要があるため、契約時に注意しましょう。
カーポートは火災保険の対象になりますが、すべての損害に対して補償されるわけではありません。
損害原因によっては補償されないことがあります。
ここからは、適用されない条件や修理する場合の注意点、補償されやすい事例、火災保険申請から保険金受取の流れを紹介します。
火災保険がカーポートに適用されない条件
火災保険でカーポートの補償が適用されない条件を4つ紹介します。誰もがあてはまる条件と、人によってはあてはまらない条件があります。
適用されない条件1:経年劣化の場合
火災保険では、経年劣化による損害は支払いの対象となりません。それは、錆やカビ、腐敗などは月日の経過で避けられない、予測可能な現象だからです。
基本的に火災保険は、偶然な事故を補償するためにあります。経年劣化は対象外だということを理解しておきましょう。
参照:経年劣化について
適用されない条件2:補償内容以外での被害の場合
人によって、火災保険の補償内容は異なります。損害の原因が、契約していない補償内容だった場合は、保険金請求ができません。
例えば、大雨による洪水で浸水した場合は、「水災」の補償を契約していないと保険金請求はできません。
保険会社に連絡する前に、契約時に選択した補償プランを確認してみましょう。補償内容がわからない場合は、保険代理店や保険会社へ問い合わせれば教えてもらうことができます。
補償内容については、こちらの記事で詳しく説明しています。
適用されない条件3:修理費が自己負担額以下の場合
火災保険では、自己負担額(免責金額)の設定をすることができます。自己負担額を設定すると、実際に事故がおこった場合に、損害額から自己負担額を引いた金額が保険会社から支払われます。
損害保険金(支払われる金額)= 損害額 − 自己負担額(免責金額)
自己負担額を設定するメリットは、保険料を安く抑えられる点です。しかし、設定した場合は事故時に注意が必要です。
例えば、自己負担額を10万円で設定した場合、修理費が10万円を超えなければ支払う保険金は発生しません。修理代よりも自己負担額の方が高くなってしまうからです。
請求前に、ご自身の補償内容に自己負担額が設定されているか確認しておきましょう。
参照:自己負担額について
適用されない条件4:自動車の被害
自動車による被害も注意が必要です。特に注意したいポイントを2つ紹介します。
自動車本体の損害は、火災保険では補償されない
車庫入れの失敗でカーポートに自動車が衝突してしまった、という事故がよくあります。その場合、自動車本体にも傷がつくケースが多いですが、自動車本体の修理代は、火災保険では支払うことができません。
自動車の修理代は、自動車保険で補償されます。しかし、「一般型」の車両保険を契約中の場合のみ対象となります。「エコノミー型」の車両保険では自損事故は補償対象外となります。請求前に、自動車保険の補償内容を確認しましょう。
自分の車でぶつけた場合、補償されない場合がある
自動車本体の補償は自動車保険ですが、カーポート自体の補償は火災保険で対応できます。
しかし保険会社によっては、契約者または被保険者が所有・運転する自動車で自宅に衝突した場合、補償の対象外になることがあるため注意が必要です。(参考:じぶんでえらべる火災保険)
ほとんどの保険会社では、「建物外部からの物体の落下・飛来・衝突など」が補償されるプランで契約していれば、自車で衝突した場合でも補償の対象になります。確認のためにも、保険会社へ連絡して補償内容を聞いてみると安心して車庫入れができるのではないでしょうか。
参考:事故の補償例
火災保険でカーポートを修理する場合の注意点
火災保険を使ってカーポートを修理する場合に注意するべき点を2つ紹介します。
注意点1:補償対象
カーポートの修理が火災保険で補償されるからといって、安心してはいけません。前述のとおり、契約中の補償内容によっては、支払対象とならないことがあります。
ご自身の補償内容をしっかりと確認すること、そしてカーポートの破損原因を確認することが保険金請求の大切なポイントになります。
注意点2:免責金額
免責金額とは、保険利用時の自己負担額をいいます。自己負担なしの免責金額0円で設定する人もいれば、保険料を抑えるために免責金額を設定する人もいます。
火災保険を使ってカーポートの修理をする場合、免責金額分は自己負担となります。
修理代を支払う時になって実費分に驚かなくてもいいように、事前にご自身の自己負担額を確認しましょう。
火災保険でカーポートが補償されやすい事例
カーポートが火災保険の補償対象であることはわかりましたが、実際にどのような事故で保険金が支払われているのか気になりますよね。ここからは、火災保険で補償されるケースが多い事故例を、4つ紹介します。
事例1:台風による被害
最近では、自然災害に強く性能が高いカーポートが普及されていますが、台風による被害はまだ多くあります。
- 台風による強風でカーポートの屋根が飛んだ場合
- 台風による飛来物でカーポートが被害を受けた場合 など
このように、台風や強風などが原因で被害を受けた場合、「風災」で補償することになります。台風被害の場合、何号の台風による被害かなどを報告するため、速やかに保険会社へ連絡しましょう。
事例2:自動車による被害
カーポートは愛車を守るために設置されるものであり、自動車の動きが多い場所にあります。そのため、自動車による被害が多くあります。
自動車による被害は、「建物外部からの物体の落下・飛来・衝突など(保険会社によって名称は異なります)」で補償されます。前述のとおり、自動車本体の補償は自動車保険での対応になりますので注意してください。
また、保険会社によっては自分の車でぶつけてしまった場合は対象外となることがあるので、事前に補償内容を確認しましょう。
参考:事故の補償例
事例3:大雪による被害
積雪の多い地域を中心に、大雪によってカーポートが倒壊する事故が発生します。雪は積もるとすごい重量になるため、重みで屋根が落ちる危険があります。
このような雪による被害は、「風災・雹災・雪災」で補償されます。
大雪の際は、雪下ろしを早めにするなどの対策を考えましょう。
参考:雪による被害
事例4:ヒョウ(雹)による被害
異常気象により、雹による被害も発生しています。雹は硬く、落下スピードが速いため、カーポートにあたると屋根部分に穴があいてしまうことがあります。
このような雹による被害は、「風災・雹災・雪災」で補償されます。
参考:雹による被害
火災保険の申請から受け取りまでの流れ
さいごに、カーポートの修理代を火災保険で請求するための手順を説明します。
STEP1:保険会社へ連絡相談
被害を発見したあとは、速やかに保険会社へ連絡しましょう。
保険会社への連絡は、電話やweb、LINEなど、保険会社によって様々な方法があります。
連絡する際の注意点は、以下の2つです。
①保険金請求には、事故から3年という時効があるため、注意が必要です。
②修理前に連絡することが望ましいです。損害が大きい場合など、鑑定人が査定をする可能性があるからです。
保険金請求の時効については、こちらの記事で詳しく説明しています。
STEP2:必要書類の準備
請求に必要な書類は、早めに準備をはじめましょう。基本的な必要書類は、以下のとおりです。
- 損害部分の写真(様々な角度から撮影)
- 建物(カーポート)全体の写真
- 修理見積書
- 保険金請求書
STEP3:査定
写真と修理見積書を参考のうえ、保険会社が査定を行います。見積金額が満額支払われることもあれば、経年劣化などとみなされて一部支払われない可能性もあります。
大きな損害額の場合などには、鑑定人が直接損害箇所を調査にくることもあります。
STEP4:保険金の受け取り
査定が完了し、支払い保険金額が確定すると、ついに保険金を受け取ることができます。
保険金は、保険金請求書で指定した振込先口座へ入金されます。
保険金請求の手順については、こちらの記事で詳しく説明しています。
まとめ
カーポートの修理は、火災保険での申請が可能です。しかし、契約内容によって異なるため、事前に補償内容を確認しましょう。また、カーポートが対象になることを知らなかった方は、この機会に保険会社へ連絡して補償範囲を確認しておくとよいでしょう。