火災保険の申請代行サービスは違法?トラブルを防ぐ方法

火災保険申請代行サービスとは、複雑で難しい火災保険の書類手続きや申請作業を、サービス会社が代行する非常に便利なサービスです。

しかし、申請代行サービスをインターネットで検索すると「火災保険申請代行”詐欺”」「火災保険申請代行”違法”」等の言葉がずらりと並び、実際にサービスを使用しても大丈夫なのか不安に感じられる方は多いのではないでしょうか。

実際、火災保険申請代行サービス業者とのトラブルに関して、消費生活相談件数が2018年から2年連続で増加しており、消費者庁や日本損害保険協会が注意喚起を行っています。

そこで本記事では、火災保険申請代行サービスの違法性の解説と悪質な業者を見極めるポイント、さらにトラブルに巻き込まれた際の対処法について詳しく解説します。

目次

火災保険申請代行サービスとは

火災保険申請代行サービスとは、契約者に代わって火災保険金の請求に必要な書類作成や請求申請を行うサービスを指します。

火災保険は加入している保証内容にもよりますが、火災をはじめとした地震や水害、雪害に台風被害などの自然災害によって、住宅や設備の破損被害がでた場合に、保険会社に被害箇所を報告することで保険金を請求することができます。

しかし、複雑な保険契約内容のすべてを自分で把握して、破損箇所の報告書を作成することは容易ではありません。

素人には非常に難しい資料作成から申請手続きまで一貫して業者が代行することで、火災保険の払い損や申請漏れを少なくできるメリットがあります。

ちなみに「火災保険申請代行サービス」と「火災保険申請サポートサービス」は似ているようで内容が大きく異なります。

申請代行サービスは業者が書類作成から申請手続きまで一貫して行うのに対して、保険申請サービスは書類作成などを業者がサポートして、申請は契約者本人が行う必要があります。

火災保険の申請代行は違法行為なのか

火災保険申請代行サービスは、「違法行為に”あたらない”事例」と「違法行為に”あたる”事例」があります。

下記で詳しく解説しますが、簡単にご説明すると、正式な弁護士または行政書士の資格を”有している”業者であれば違法行為にあたらず、どちらの資格も”有していない”業者は違法行為となります。

保険契約の約款には「原則、保険金請求は被保険者が行うべき」と記されていることが多く、弁護士or行政書士資格を有していない悪徳業者に依頼してしまうと、保険会社に違反行為とみなされてしまいます。

違反行為が発覚すると、保険金が支払われないだけではなく、保険契約そのものが無効になる可能性があります。

火災保険申請代行サービスを使用する際には、業者の弁護士or行政書士の名前と弁護士登録番号を調べて、信頼できる業者なのか必ず確認を行いまでしょう。

火災保険の申告代理が違法行為に”あたらない”事例

ここからは、火災保険申請代行が違法行為に“あたらない”以下の事例について、詳しく解説します。

・弁護士資格、または行政書士資格を”保有している人”が火災保険申請代行を行った場合
・火災保険申請代行サービス業者に手数料等の利益が見込めない場合

1.弁護士or行政書士が申請代行を行った場合

火災保険の申請は原則契約者本人が行う必要がありますが、弁護士または行政書士の資格を保有している業者が火災保険の申請代理を行うことは、保険契約の違反行為にはあたりません。

資格を有していない業者に依頼して申請代理を行うことは、契約違反であるばかりか、非弁行為という法律違反となります。違反行為が発覚すると、保険金は支払われず、保険契約を強制的に解除される可能性もあります。

尚、申請サポート業者は専門的な知識をもとに、物件調査や書類作成をサポートしますが、実際に申請を行うのは保険契約者本人になるので違法性はありません。

2.申請代行業者に利益が見込めない場合

手数料を取らないなどの方法で、火災保険の申請代理を請け負った業者に利益が見込めない場合も、保険契約の違反行為にはあたらず合法的な申請といえます。

しかし、手数料を取らない申請代行サービス業者の多くは、見積もり料の中に手数料を組み込んでいるため、保険契約の違反行為にはあたりませんが、最終的にはサービス使用者が損をする構図になっています。

手数料無料や実質0円を謳う業者には十分な注意を払い、本当に信頼できる業者なのかしっかりと見定めましょう。

火災保険の申告代理が違法行為に”あたる”事例

ここからは、火災保険申請代行が違法行為に“あたる”以下の事例について、詳しく解説します。

・弁護士資格、または行政書士資格を”保有していない人”が火災保険申請代行を行った場合
・工事を契約の必須事項にする等、申請代行業者が直接ではないが利益を得られる場合
・保険金の申請を下りやすくする目的で、虚偽の内容で申請を行った場合

1.弁護士or行政書士資格を有していない人が申請代行を行った場合

火災保険申請代行を弁護士あるいは行政書士の資格を有していない人が行った場合は保険契約の違反行為となります。

原則契約者本人が火災保険申請をする必要がありますが、これを弁護士or行政書士の資格を有していない人物が代行することは、例え資格が無いことを知らずに使用した場合でも、保険契約解除の理由になってしまいます。

上記でもご紹介しましたが、業者と契約する前に必ず、弁護士または行政書士の資格を有した方は在籍しているのか、在籍していない場合は弁護士事務所と提携しているのか確認しましょう。

弁護士を名乗る怪しい人物が居たら「フルネーム」「弁護士登録番号」「所属弁護士会」を聞いて、すぐに答えられない場合は疑った方が良いでしょう。

尚、本物の弁護士であるかは「日本弁護士連合会」のホームページで調べることができます。

2.申請代行業者が直接ではないが利益を得られる場合

申請代行の手数料を取らない代わりに、住宅のリフォーム工事や修繕工事を必須事項に組み込んでいる契約は、独占禁止法に違反している契約である可能性が高いので注意しましょう。

悪質な業者は、契約の段階でリフォーム工事や修繕工事の必須事項について説明を行わずに契約を結び、契約後工事を行わない場合は高額な違約金を払うように迫ってくるケースもあります。

相手が業者である以上、申請代行の事業が利益を目的としないボランティアであろう筈がないので、手数料の安さを強調する営業をされた場合には、注意深く話を聞きましょう。

3.虚偽の内容で申請を行った場合

意図的に虚偽申告をする、または申請代行サービス業者から促されて虚偽申告を行った場合は詐欺罪(保健委員詐欺)に該当する可能性があります。

火災保険金が下りやすくなるように、住宅の一部を破壊する行為や有りもしない話を作り上げるように業者に指示された場合は、すぐに消費者センターに相談しましょう。

業者主導で虚偽申告を行っていたとしても、保険の契約者だけが罪に問われる可能性もあるため、業者に虚偽申請を促されても絶対に応じないようにしましょう。

見積金額を必要以上に高額にして請求することを、水増し請求と呼びます。
保険会社も見積金額について独自に調査するため、不当に高額な水増し請求が承認されるケースは非常に稀ですが、水増し請求が承認されて、保険金を受け取った場合は、罪に問われる可能性があります。

悪質な詐欺業者を見極める3つポイント

火災保険の申請代行は、複雑な書類作成や申請が苦手な方にとって非常に助かるサービスである一方で、人の優しさや弱みに漬け込み、サービス利用者にとって不利な契約を結ばせようとする、悪質な詐欺業者も一定数存在しています。

特に大きな自然災害の後には「自己負担なく工事ができる」「保険金の申請を無料で手伝う」「壁がひび割れているから工事しなくてはいけない」等、災害に便上して騙そうとする業者が増える傾向にあります。

明確な悪意がある業者に共通していることは、業者から積極的に働きかけてくる点です。事前に悪質な業者を見極めるポイントを知っておくことは、自分と家族の大切な資産や暮らしを守ることに繋がります。

ここからは、以下の悪質な詐欺業者を見極める3つポイントについて、詳しく解説します。

・サービス利用者の不安を煽って、不必要な工事を提案してくる業者
・契約の報酬手数料が、他社の申請代行サービスの相場より高額な業者
・来訪や電話等で強引に契約を進めてこようとする業者

ポイント1:不要な工事を提案してくる業者

悪質な業者の代表的な手口として、地震などの自然災害発生後に、住宅に工事が必要な程の目立った損害箇所が無いにも関わらず、修繕工事を提案してくる点があげられます。

「ひび割れは構造上危険だ」「屋根を修理しないと雨漏りの危険性がある」等、悪質業者は言葉巧みに人々の不安を煽り、工事を行わせようとします。

強引に契約をさせられてしまった場合は、業者の行為が不用品強要型の独占禁止法にあたる可能性もあるので、すぐに消費者センターに相談しましょう。

ポイント2:報酬手数料が相場よりも高い業者

火災保険の申請代行サービス業者は成功報酬制の契約になっている場合が多く、保険会社から受け取った保険金に対して費用相場は30%以上~40%未満です。

火災保険の申請代行サービスはまだ世間一般にあまり知られていないサービスである為、相場を知らない人をターゲットに、中には成功報酬制を50%以上に設定している悪質な業者が存在します。

良いと思った契約内容であっても即決することは大変危険なので、一度持ち帰ってインターネット等で調べることが重要です。

ポイント3:飛び込み営業で強引に契約を進めようとする業者

飛び込み訪問による強引な営業も悪質業者の常用手段で、消費者センターに問い合わせが最も多いトラブルがこちらのケースです。

「早く決めないと損をする」「100%保険金申請が下りる」「急がないと危ない状態だ」等と相手をまくし立てて、契約を強引に進めようとします。

勢いに押し切られて契約してしまった場合は、一定の期間内であれば一方的に(無条件・無理由で)契約を解除できるよう定められたクーリング・オフ制度を活用しましょう。

クーリング・オフの期間が過ぎてしまった場合でも、契約書面を受け取っていない場合や契約書面の記載事項に不備がある場合はクーリング・オフできる可能性があるので諦めずに解約を申し出ましょう。

トラブルに巻き込まれた場合の対処法

火災保険の申請代行サービス業者とトラブルが発生したら、以下の方法を試しましょう。

・ご契約している保険会社または保険代理店の担当スタッフに相談する
・国民生活センターが運営する消費者ホットラインに電話する

・クーリング・オフ制度を活用して契約の解除を行う
・無料で法律相談できる法テラスに相談する
・ひとりで抱え込まずに、家族に相談する
・警察に相談する

不要なものやサービスは、はっきりと断ることが大切ですが、予想していなかったトラブルに巻き込まれてしまった場合は、絶対にひとりで抱え込まずに、家族や専門家、警察を頼ることが重要です。

少しでも不安に感じる部分や不審に思う部分があった際には、迷わず消費者センターや警察に相談をしましょう。

まとめ

本記事では、火災保険の申請代行サービスの違法性についての解説と悪質な詐欺業者を見極めるポイント、そしてトラブルに巻き込まれた際の対処法について解説しました。

火災保険の申請代行サービスは、複雑な書類作成や申請手続きを代行してもらえる大変便利なサービスですが、他方で、世間一般にあまり知られていないサービスのため、情報に疎い人々を狙い、騙そうとする業者がいることをご紹介しました。

本記事のまとめは、以下のとおりです。

・火災保険の申請代行サービスは違法ではないが、弁護士or行政書士資格が必要になる
・悪質業者は「強引に契約を進めようとする」という共通した特徴がある
・トラブルが発生したら、信頼できる公的・民間の相談サービスを活用しよう

本記事を通じてご紹介した情報が、火災保険申請代行サービスをご検討している方にとって、少しでも参考になれば幸いです。

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